希薄になってゆくネットと現実の境界

ネット上で知り合い、交流をもった結果、お互いが興味を抱きあい、あるいは利害が一致して実際に顔を合わせる。現在、このネットから現実への人間関係の発展が次第に増えてきています。欧米では、日本に先駆けてビジネスに特化したソーシャル・ネットワーキングが人気を博していることにも象徴されるように、インターネットは現実の世界での活動を補完する、あるいは強化・発展させるためのツールであると認識される傾向があります。日本において、ネットから現実へ人間関係が発展する大きな契機になっているのは、やはりソーシャル・ネットワーキングの存在です。ソーシャル・ネットワーキングを通じて興味を持った相手と実際に接点をもつようになった人を多数目撃しています。たとえば、音楽家と音楽愛好家が交流を持ち、興味を抱いて初めてライブに行き、終演後に互いに意見交換を持つなどです。また、東北地方の大震災も大きなきっかけになりました。ネット上で有志が呼びかけ合い、集まって助け合う。また、人との実際の繋がりが欲しくなる。一定の環境や条件が作用すると心理的な垣根が低くなるのです。人々の気持ちが変化してネット上での人間関係のあり方も変化し、ネット黎明期に見られたような「ヴァーチャル」対「現実」という二元論的構図はもはやどこかに行ってしまい、ネット内の世界は現実世界の一部と化して、その境界がどんどん希薄になってきている段階に入っていると感じています。

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